最近はすっかり居酒屋というところへ行かなくなった。職場で飲みに行こうという時代でもないように思う。それでも出張先では、ふらりと呑み屋に入ることは在る。とても「居酒屋探訪記」の太田先生のようにはいかないが。今回は羽田空港発のフライトが早いので、空港側で泊まることにした。
京浜急行の便を考えると品川が一番いいが、蒲田・川崎・大森も候補に上る。今回は大森駅直結の東急REIホテルを選んだ。19時前にチェックインできたので、荷物をおいて夜の街へ。大森駅の山の手側は高級住宅地、海岸側は河岸などがあった庶民の街。元河岸だったということから老舗の料理屋が多い一方、大井競馬場・平和島競艇場などへの接続駅でもあるから安い呑み屋も多い。店のバリエーションは本当に多い街だ。
そんな街で、日本酒を飲める店を探してみた。明日から外国だと思うと、日本酒が呑みたくなるものだ。入ったのは、駅から徒歩３分と近いホテルの地下にある「走り長屋」という蕎麦店。宴会用の座敷もいくつかあって、騒がしいことはある。まあ、この連中は20時を少し回れば二次会へと消えていくだろう。
おひとり様ということで、片隅の小さなテーブルに案内され、最初にお酒のリストを見る。この店の売りは、何種類かの日本酒から３つを選ぶ「３杯セット」。今回は、山形・長野と福島のお酒を選んだ。この店は会津福島にルーツがある。日本酒にはお刺身ということで、コチの薄造りを頼んだ。
まず全ての杯をなめてみて、味を確かめる。日本酒にも、ワインの白・ロゼ・赤ほどではないが違いがある。例えばすっきりした吟醸酒は白身の刺身が合い、こってりした純米酒には煮物などが合う。福島のが一番こってりしていたので後回しにし、コチは山形のでつまむことにした。
あと２品ほど頼み、ゆっくり時間をかけて味わった。明日の朝は早いけれど、この程度で済ませれば起きられるよね。
＜初出：2017.5＞
