Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

伊豆クレイル

 JR各社間の格差が、かなり顕著になってきた。営業収支だけでなく事故や問題隠しなどでご難続きのJR北海道の一方で、JR東海リニア新幹線の大阪延伸を前倒すかと意気軒高である。もともと3島会社(北海道・四国・九州)は、経営基盤がぜい弱だと見られていた。そんな中で、JR九州の健闘は立派である。日本で初めての「クルーズトレイン:ななつ星」を就役させるなど、アイデアあふれる経営をしている。

 
 「ななつ星」に触発されたJR東日本が「四季島」をJR西日本が「瑞風」を開発して、旅客運用に入っている。日本の鉄道業界は豪華列車の時代に入ったのかもしれない。料金は「ななつ星」の1泊2日コースで30~45万円(2人1室)と想像を絶する金額なのに、ものすごい人気・競争率である。下手をすると、1週間のヨーロッパツアーに行けそうなお値段であるのに。
 
 もう少しリーズナブルなものはないかと探してみたら、ありました、ありました。週末・休日に、小田原・伊豆急下田を1往復だけする「伊豆クレイル」。温泉旅館の1泊と、往復車内で食べるお弁当などが付き、約3万4千円~6万3千円。JR東日本の旅客運用上は、全車グリーン車の快速列車である。特急・急行券は要らないが、指定グリーン券が必要なので、快速とはいえ「青春18きっぷ」などでは乗れない。
 
 編成は4両。1両目は海側(下田行きで左側)に向いたカウンター席中心に24席。かつて伊豆急が海側に向けた席を並べた車両を運用していたことがある。小田原・熱海間も含めて、全区間で海の眺望はこの路線の売り物である。2両目はラウンジカー。カウンターバーもあり、専任シェフの提供するオリジナルメニューもある。3両目はコンパートメント中心の22席。4両目は回転式リクライニングシートとボックスシートで合計52席。

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 車両は「スーパーひたち」の流用で、淡いピンクの塗装をし内装も豪華に改装している。車両だけでなく、小田原駅も改修されていて「伊豆クレイル」乗客専用の待合室を設けていた。小田原駅での乗り換え時間に一服してくださいというのは、丁寧なことである。 日本の鉄道が豪華列車の時代に入ったのはいいのだが、あまりお値段が高すぎるのもどうかと思う。「伊豆クレイル」のような列車が日本中にもっと増えてくれれば、鉄道好きの僕としては嬉しいのですが。
 
<初出:2017.3>