Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

廃線が復活した理由

 2017年3月のダイヤ改正では、大物(例:北陸新幹線開業)はなかったものの興味深い改正がいくつかあった。JR北海道の廃駅や直通特急の削減などは、痛々しい思いがする。確かに自然環境や経済環境の悪いところだが、相次ぐ事故や点検偽装で完全に負のスパイラルに陥ったようだ。ここに至るまでに、経営として本当に打つ手が無かったのか疑問である。

 面白かったのは、一度廃線になった区間が復活したという未曾有な例。広島の市街である横川から三段峡という景勝地まで伸びていた可部線だが、当然ひどい赤字路線。1987年の国鉄の分割民営化が成ってJR西日本の一路線になったのだが、お荷物であることに変わりは無い。ついに2003年に、電化されていた横川・可部間(15.6km)は存続させるものの、可部・三段峡間(46.2km、21駅)は廃止されてしまった。可部・三段峡間は、僕が結局乗ることができなかった「幻の国鉄」のひとつである。

 それから14年、廃線跡に1.6kmだけ電化区間が復活し、新しい駅(河戸帆待川あき亀山)が2つ出来た。可部線は以前から通勤路線となっていて、復活した理由としては沿線人口が増えてきたこと。これそのものは嬉しいことなのだが、ちょっと立ち止まって考えると問題も見えてくる。

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 可部駅の現住所は、広島市安佐北区可部2丁目である。そう、3年前70人あまりの犠牲者を出した広島豪雨災害が起きたところである。もともと住宅地には適さず土石流の危険があったところだが、広島という政令指定都市が拡張することによって、宅地化されたのである。地方でも中核都市だけは付近からの人口流入で、局地的な人口増加が見られることが多い。それもより地価の安い郊外・周辺部に人口が分布しコンパクトシティ構想など「紙切れ」になってしまっているのが実情だろう。

 可部線延伸の背景も、ハザードマップがありながらこの辺りに人口が増えている証拠なのだ。鉄道好きのNINJAとしては、鉄道延伸はいいとしてその背景には疑問がありますね。

 

<初出:2017.3>