Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

旧皇族の復帰か女性宮家か(後編)

 毎月月末の土曜日の未明、「朝まで生テレビ」という政治討論番組があって、僕も時々見ている。80歳を越えて4時間近い深夜番組の司会をしている田原先生には敬意を表したい。昨年の8月と9月、2ヵ月続けてテーマが「天皇家」だった。今上天皇の退位に関する「お言葉」があったせいもあろう。

 
 生前退位の是非、皇室典範の改訂などから女性宮家創設、旧皇族皇籍復帰、女性天皇女系天皇と議論が広がっていき、1回の放送では十分な議論ができなかったため異例の2ヵ月連続となったようだ。まあこの番組、放談会に近いので議論が尽きるはずもないのだが。

        f:id:nicky-akira:20190413161557p:plain

 
 今上天皇の「お言葉」は単に自らの引退を希望したものではなく、今後の天皇家の安定的な継承の意味を含んでいたと思われるから、そこまで広がってしまうのは必然だった。生前退位の話は、条件(一代限り)付きで可能とする法整備、というのがおおむねの方向だったが、女性宮家の議論になって番組は一層白熱した。
 
 特に熱弁をふるったのが、竹田恒泰という法学者。良く知らなかったが、旧皇族の家系らしい。盛んに主張していたのが、「男系による万世一系」の堅持ということ。歴史上、女性天皇は少なくない。しかし、女性天皇などの子供は天皇になっていない、いや成れないというのが「男系」の意味。ジェンダーフリーとはかけ離れた考え方ではある。
 
 彼がこの議論を急ぐと言った理由は、「女性皇族の結婚適齢期が来ている」ということ。秋篠宮眞子さま、佳子さまのことを言っているらしい。今でも皇族の多くが女性で、このまま女性皇族の結婚による皇籍離脱が続けば、皇族が絶えてしまうということ。従って女性宮家の創設を考えなくてはならないが、女性天皇までは良くても女系天皇は認めないとすれば早晩手詰まりになることは明らかである。議論はそこまでだったが、つまり(自分を含む)旧皇族皇籍復帰が必要だと言いたいのかもしれない。
 
 11宮家の皇籍離脱GHQの戦後占領政策で強制されたものだから、これを復帰させることは日本国民が求めるならやるべきだという憲法改正ににた議論になりそうだ。日本会議日本のこころ党が喜びそうなテーマだ。昨年の「お言葉」以降一時期活発だったこういう議論、今回の眞子さまの結婚話で再燃してきた。
 
 僕は旧皇族皇籍復帰は乱暴だと思うし、女性天皇女系天皇があってもいいと思うが、全ての国民が知っていて相応の関心を示すことがらだけに政局になった場合のインパクトは計り知れない。そんな事態にならないようにだけ、祈りたいですね。
 
<初出:2017.6>