Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

1/2の真価

 以前「メカニカルカメラの王者」として、NIKON F2NIKKOR 85mm F1.8 をご紹介した。重さが1.5kgあることも。実はその半分の重さで、ほぼ同じことができる。NIKON New FM2 に NIKKOR 50mm F1.8 を付ければいい。
 

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 焦点距離こそ中望遠レンズである 85mm に及ばないが、明るさは同じ。少し工夫すれば類似の描写はできる。大口径 85mm や 100mm は俗に「ポートレートレンズ」とも言われていて、肖像写真を撮るのに適している。理由はボケ味の美しさだ。
 
 レンズは焦点距離が短くなるほど、絞りを深く絞るほど「被写界深度」が深くなる。手元から遠くまでピントが合う。広角レンズを深く絞れば、1mから無限遠までピントを合わせた写真を撮ることもできる。
 
 逆に(中)望遠レンズで絞りを開ければ、ピントが合う距離を狭くできる。この性質を利用して、人物にだけ(場合によっては眼にだけ)にピントを合わせ、前景や背景をぼかしてしまうと、良い肖像写真になりやすいのだ。
 
 このような描写は、標準レンズと呼ばれる 50mm クラスのレンズでも可能だ。さらに言うなら、標準レンズは絞りを開ければ望遠レンズのような描写が、絞りを絞れば広角レンズのような描写ができるわけである。これ1本あれば、複数のレンズを使い分けなくてもいろいろ使えるので「標準」といったようだ。
 
 ただ、初心者が安いレンズだからといって最初にこれを買うと、問題も起きる。いろいろ使えるレンズもある程度の技術あってのこと、初心者にとっては「何にも使えない」レンズだからだ。思うような写真が撮れなくて、そのままお蔵入りにしてしまった人も多いのではなかろうか。普段の暮らしでは、35mm クラスのレンズを付けたコンパクトカメラの方がずっと使い勝手がいいのだから。
 
 それでは、ボディの方はどうかというと、フルメカニカルは同じで、シャッタースピードも 1/4000 まであり機能的には同等以上。さすがに耐久性はプロ仕様の NIKON F2 に劣るだろうが、普通のマニア程度なら10万回シャッターを切ることはあるまい。
 
 そんなわけで、腱鞘炎を恐れはじめた NINJA としては、1/2の重さをとてもありがたく思うのです。
 
<初出:2016.7>