Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

自動車情報の活用(4)

 次は車検・整備・部品販売等の事業について。保険の代理店業も含めてこれらの事業はひとつの会社で全部やっている例も多い。まず車検だが、これは法で定められていること。しかしリアルタイムで稼動データが入ってくるようになったら、定期点検を課す必要があるのだろうか?

 これで思い出すのはエレベータの定期点検。かつては毎月のように保守員が来て、点検作業をしていた。しかし最近は1年に1度(くらい?)しか実地点検はせず、あとは遠隔監視で代用していると聞く。これによってエレベータ事業には大きな変化があった。当然、巡回する保守員は大幅に削減することになる。しかし内勤の監視要員として門知識を持った人が必要になり、巡回保守員のいくらかは内勤に移っていった。遠隔監視システムそのものの導入・運用・改良にも要因は必要になり、ICTスキルを再教育するなどして配転をはかったと思われる。

 車検でもし遠隔監視による実地検査の削減が起きたらという不安の声が、事業者から上がった。エレベータ事業者は比較的大手企業なので大規模なシステム導入や時間をかけた配転ができたのであって、小規模零細事業者が多い整備業界にそんな余裕も機会もないというのがその主張だ。

 国交省が「将来ビジョン」と検討会に銘打ったのは、今日明日に実施するのではないとの意図も含まれている。これは、現在の事業者に急激で破壊的な変革を求めるものではないということだ。しかし(これは他の産業・事業者でも同じなのだが)いずれは変革はやってくる。その時に騒いだのでは遅いので、今は冷静に事態を受け止め来るべき時への準備を進めなくてはなるまい。

 

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 テレマティクス車検(これはNINJAの造語)が技術的に確立し、行政も(エレベータのように)それを一部解禁すれば、選択するのは消費者である。事業者の負担も消費者の負担も軽減されるはずの車検なので普通の経済原則に従えば、テレマティクス車検の比率が増えていく。

 整備についても、遠隔で得られる情報は有益なはずだ。整備の対象クルマが運ばれてくる間に、クルマの状態が分かるから整備の設備や手順の準備ができる。代車が必要な状況かどうかも、判断できるだろう。必要な部品調達手配も先行して行える。これらは、整備事業者の負荷を軽減し同時にサービスを向上させる。

<続く>