次は車検・整備・部品販売等の事業について。保険の代理店業も含めてこれらの事業はひとつの会社で全部やっている例も多い。まず車検だが、これは法で定められていること。しかしリアルタイムで稼動データが入ってくるようになったら、定期点検を課す必要があるのだろうか?
これで思い出すのはエレベータの定期点検。かつては毎月のように保守員が来て、点検作業をしていた。しかし最近は1年に1度(くらい?)しか実地点検はせず、あとは遠隔監視で代用していると聞く。これによってエレベータ事業には大きな変化があった。当然、巡回する保守員は大幅に削減することになる。しかし内勤の監視要員として門知識を持った人が必要になり、巡回保守員のいくらかは内勤に移っていった。遠隔監視システムそのものの導入・運用・改良にも要因は必要になり、ICTスキルを再教育するなどして配転をはかったと思われる。
車検でもし遠隔監視による実地検査の削減が起きたらという不安の声が、事業者から上がった。エレベータ事業者は比較的大手企業なので大規模なシステム導入や時間をかけた配転ができたのであって、小規模零細事業者が多い整備業界にそんな余裕も機会もないというのがその主張だ。
国交省が「将来ビジョン」と検討会に銘打ったのは、今日明日に実施するのではないとの意図も含まれている。これは、現在の事業者に急激で破壊的な変革を求めるものではないということだ。しかし(これは他の産業・事業者でも同じなのだが)いずれは変革はやってくる。その時に騒いだのでは遅いので、今は冷静に事態を受け止め来るべき時への準備を進めなくてはなるまい。