まず一般の乗用車ではない、特殊車両の例を見てみよう。代表的なものは建設機械。JR小松駅の前には、コマツ製の大型ダンプトラックが展示してあって、タイヤの直径が5mはあろうかという巨大さに圧倒される。昨今はやりの「自動運転」機能はすでに備えている。デモビデオで、この巨大な車両が器用にすれ違うシーンを見せてもらって感動した。
機械の状況をモニターできれば、振動等故障の予兆があれば点検をしたり部品を用意したりもできるし、位置等を見て盗難に対する警告もできる。その技法がどんどん進歩していて、ある外資系建設機械メーカーによると、運転席にいるオペレータの顔色などを見て健康状態を判断して現場監督にアドバイスできるところまで来たらしい。まあ二日酔いのケースが多いように思うが。
このメーカーでは単純に建設機械を売るのではなく、採掘現場や建設現場の全貌を見える化して安全かつ効率的に作業ができる環境を提供することがビジネスだと言っている。似たような話は日本の農機具メーカーからも聞いたことがあり「圃場全体を面倒見る企業でありたい」とのこと。製造業の2.5次産業化に向けた、代表的なスタンスだろうと思う。
さて一般車両についてだが、自動車情報活用にはいくつもの事例がある。僕自身が一番最初にこの分野に気づいたのは、米国の"Car Fax" という会社を教えてもらったことからだった。簡単に言うと、中古車取引関連情報提供が彼らのビジネスである。クルマの情報そのものを売っているわけだ。
米国では、中古車の個人売買が多い。一般に買い手はクルマの整備等に詳しいわけではないから、大きな事故を起こしたクルマをきれいに塗りなおして持ってこられたら見破れないことが多い。逆に売り手も、大事に乗ったクルマなのに難癖付けられて買い叩かれたら切ない。そこで"Car Fax" サイトの出番になる。
情報が正しければ、買い手は安心、売り手は満足、市場は活性化とよいことづくめになる。これが同社が社会に存在する意義でもある。
<続く>