Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

ベルファストへの旅

 ベルファスト、と聞いてすぐに場所が思い浮かばなかった。ジェラール・ド・ヴィリエのプリンス・マルコ・シリーズに「怒りのベルファスト」という作品があったっけ。確かIRAが出てくる話だったな、そうかアイルランド島にあった、と思い出すことができた。僕の地理学はそんなものである。
 
 今年、ひょんなことからベルファストを訪問することになった。まだ4月なので寒そうだ。フライトを調べてみると、当然日本からの直行便はない。青い色の日系航空会社のHPで探すと、ブリュッセル乗り継ぎというのが出てきた。3月に自爆テロがあったばかりだし、本当に飛んでいるのかとムッとなって他の選択肢を探した。結局、フランクフルト乗り換えで隣のダブリンに飛んで、陸路を車で走ることにした。
 
 ダブリンの気温は8度。「まあ暖かい」と迎えに来てくれたケルト人風の大男は言う。ベルファストまでxxという数字が標識に出てきて、それがある時点で一気に減った。つまりアイルランド(というキロメートル表示の国)から北アイルランド(グレート・ブリテン北アイルランド連合王国:こちらはマイル表示)に国境を渡ったわけ。
 
 両側にウシやヒツジがのんびり草をはんでいるのを眺めながら、高速道路を飛ばして約2時間でベルファストに到着。町を一巡りしてから早速パブに入る。前回、ロンドンが物価高と書いたが、ここはそれほどでもない。はっきり覚えていない(くらい飲んだ)が、パイントグラスのギネスは、2ポンドくらいだったような気がする。

 仕事の後、市庁舎を案内してもらった。この地で建造された「タイタニック」と同じ内装を施した部屋もあり、かつての市議会の議場やエリザベス女王が訪れたときの部屋など、詳しく案内してもらった。そして、やはりここは「タイタニック」の町。沈没時の犠牲者全員の名前を刻んだ石碑もあった。犠牲者として僕が知っている名前は、Jacques Heath Futrelle という小説家だけ。探し当てられないうちにガイドにせかされて次の場所に移動させられてしまった。

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 非常に荘厳な雰囲気の中、昔の制服を着たガイドの人に連れられ、そのストックの豊かさを堪能させてもらった。ここは第二次大戦の空爆は無かったと思う。フランスやノルウェーの空軍基地からここまで D017 などの爆撃機は航続力が足りなかったはず。それにIRAの爆弾テロはこのような施設を襲わなかったのだろう。
 
<初出:2016.6>