Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

ミャンマーという最前線

 ミャンマーのアウン・サウン・スー・チー外相が中国を訪問している。習近平主席が会うなど、1国の外相(ただの外相ではないけどね)に対するにしては厚遇だと言われている。ミャンマーとしても最大の貿易相手国ではあるし、まして隣国となれば極めて重要な国が中国だ。僕は南部の中心都市ヤンゴンにしか行ったことがないが、北部の中心都市マンダレーまで行くと中国の影響がより強いらしい。

 「ビルマの竪琴」で有名な水島上等兵の碑も、マンダレー近郊にあると駐在員から聞いたことがある。旧日本軍のビルマ侵攻は蒋介石軍の後方補給線を絶つのが狙いだった。中国の裏玄関がミャンマーだと言っても過言ではあるまい。中国はかなり前からエネルギー輸入国になった。中東の石油に依存することは、すでに米国を上回っているのだろう。そのタンカーは狭いマラッカ海峡を通らなくてはならない。

 そこでミャンマー北西部ラカイン州チャオビューと中国の雲南省を結ぶ石油パイプラインが建設され、2015年に稼動を開始している。中国はパイプラインに沿って鉄道も建設し、石油以外のヒト・モノも輸送できるようにする意向だ。そうなれば、ミャンマー側でも雇用が生まれ経済にプラスの効果がある。

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 それはいいのだが、僕としては懸念がある。民政化されたとはいえ軍事政権の色合いが残っているミャンマーが、"Great Fire Wall" の向こう側に行ってしまうのではないかという懸念だ。インターネットに、本来国境はない。しかし、国境を守りたい国があることは以前にも述べた。その代表格が中国であることも。

 インターネットの自由陣営と規制陣営という冷戦モドキの対立からすると、ミャンマーは最前線なのだ。JCBがミャンマー国内でミャンマー市民向けのクレジット・カード拡販をするという記事も、最近目にした。ミャンマーの富裕層からは「国外で使えるカードができて、十分買い物が楽しめる」と好評のようだ。経済的な結びつきが強くなり、ヒト・モノ・カネ+情報の流通が自由になる普通の国ミャンマーがなってくれることを祈っている。
 
<初出:2016.8>