Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

いくさしたく

使われない兵器

PKOに「駆けつけ警護」任務などが付与されることになり、国会前で反対デモなどが起きている。メディアは「武器使用、新局面」と報じた。確かに、これまで自衛隊の兵器は人を相手に火をふいていない。駆けつけ警護は、事実上の救出作戦だから、対象者に脅威を…

人類滅亡まで2.5分

本当に久しぶりに「終末時計」という言葉を聞いた。僕が子供の頃は多くの戦争経験者がいて話を聞かせてくれたし、冷戦構造だったので核戦争の脅威が社会を覆っていた。映画化もされたネビル・シュート「渚にて」や小松左京「復活の日」を読んで、人類滅亡っ…

軍事演習、ザパド2017

米韓軍事演習が先月末で終了した。これを隠れ蓑に北朝鮮指導者の暗殺を謀る「斬首作戦」などが噂されていた。かの国の指導者としては(映像では満面の笑みだったが)不安な夜を過ごしていたはずで、まずは一安心というところだろうか。大嫌いなB-1爆撃機の夢…

圧力鍋爆弾

国連総会の始まったニューヨークで爆発事件があり、29人の負傷者が出たという。これに先立って、隣のニュージャージー州でも爆発事件があった。さらに、圧力鍋にワイヤのついた不審物まで見つかっている。 2013年には、ボストンでマラソン大会を狙った爆弾テ…

中国・ロシアの航空母艦

泥沼化しているシリア紛争であるが、反政府勢力最大の拠点アレッポが陥落したことによって局面は一段落した。簡単に言うと、ロシアに支援されたアサド政権側が事実上の勝利をおさめ、アメリカ他の国の支援は徒労に終わったということだ。こうなるのであれば…

インターネットの安定運営(3/終)

DDoS攻撃は古くからあるものだが、攻撃用の端末がPCに限定されていたころの脅威は今とは比べ物にならない。また国際社会のインターネット依存も当時とは比べ物にならなくなっている。攻撃手段が増し、攻撃による被害・社会への影響も増している。脅威…

インターネットの安定運営(2)

Dyn社へのDDoS攻撃は6時間以上続き、米国政府は国土安全保障省(DHS)も事態を重く見て監視状態に入った。英国政府は自らのサイトのドメイン管理を、Dyn社から別の管理機関に移した。 Dyn社に襲い掛かった端末の数は、数千万に及ぶという。…

インターネットの安定運営(1)

しばらく前から世界はサイバー戦争の世紀に入ったとする報道や、論調が多く発せられるようになっている。今回それを実感させる事件が起きた。 10月21日、Netflix・Twitter・Reddit・Spotifyといったサイトが広範囲にわたって使えなくなるという事態が発生し…

南スーダンの自衛隊

南スーダンにPKO派遣されていた陸上自衛隊の帰国が始まっている。北朝鮮やシリアの騒ぎで報道されることが減っているが、これまで自衛隊員に死傷者が出なかったことは幸いとしたい。 http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/03/post-7239.php こ…

軍用機の迷彩塗装

F-4EJ「ファントムⅡ」といえば古い軍用機だ。ベースとなったF-4の初飛行は1958年というから、僕なみのお年である。それが今年の航空祭でみどりを基調にした迷彩塗装で登場した。これを旧日本陸軍のカラーだという記事があった。https://trafficnews.jp/post/…

M48パットン戦車

第二次世界大戦で、陸上の王者は戦車になった。王者の進歩はわずか5年あまりの間というのに、目覚ましいものがあった。戦前の主力戦車は、重量10トンあまりで主砲も40mm口径未満で短砲身だった。戦争が終わったときには、重量40トン以上で主砲は90mm口径程…

防衛省発足10年(後編)

平成29年度防衛白書のパンフレット版では、サイバー空間の現状認識として、◆軍のIT化に伴い、サイバー攻撃が(軍の)脅威になっていること◆中国・ロシア・北朝鮮の名を上げ、国が関与するサイバー攻撃が増えていること◆国際社会におけるサイバー空間の法の支…

防衛省発足10年(前編)

平成29年度版防衛白書が出て、その説明会があるというので怖いもの見たさで経団連会館に出かけた。経団連の50ほどもある委員会の中に「防衛産業委員会」というのがある。昔は「防衛生産委員会」と言っていたらしく、文字通り10式戦車などを納入している企業…

FAシステムのサイバーセキュリティ(前編)

ランサムウェアの一種「Wanna Cry」が暴れまわって1ヵ月あまりが過ぎた。日本でも大手企業が感染して業務に支障がでるなど、大騒ぎになった。それでも日本企業や社会の被害は軽かった方だろう。イギリスでは病院全体が止まってしまったという例もあり、ただ…

FAシステムのサイバーセキュリティ(後編)

(2)システム全体として非常に古いものが使われている。 マイクロソフトは古い製品のバージョンアップやメンテナンスには期限を決めていて、Windows XPなどは先年サポートを止めている。「Wanna Cry」はXPなどの脆弱性を突いたものなので、Windows10などに…

海洋国家の防衛ライン論

かたや北朝鮮の金労働党委員長、かたや米国のトランプ大統領、両者の「口撃」はますますエスカレートしている。「口撃」をやっている間は双方とも手を出さないという専門家もいるが、専門家の予測とて常に当たるわけではない。グァムを包囲射撃するのはいつ…

イスラエルという国の覚悟(後編)

アフナーチームはフランクフルト、パリ、ローマ、ロンドンなどに散り、目標の情報を探る。最初は武装して護衛も付いている目標を避け、西ヨーロッパの街で普通に暮らしている者を狙った。主な情報はパリに潜伏する西ドイツ赤軍(!)と、それに連なるスジか…

イスラエルという国の覚悟(前編)

今年になってイスラエルに初めて行ってみて、「アラブの海に浮かぶ国」の実情を垣間見たような気がした。会ったのが政府関係や、セキュリティ関係の人ばかりだったせいもあろうが、明るい中にもいざという時の覚悟を感じた。そんな記憶が残る中、ふと手に取…

ひうち型多用途支援艦(後編)

艦橋を出て、今度はラッタルを降りる。急階段は登るより降りる方が危なっかしい。軍艦を舞台にした映画やTVドラマなどで、急ぐ時にラッタルを滑り降りるシーンが時々あるが、僕も若いころならやっただろうなと思う。小学生の頃は、階段の手すりを滑り台代…

ひうち型多用途支援艦(前編)

自衛隊の装備等を、一般人が見られる機会というのが時々ある。富士の裾野での「総合火力演習」というのが有名で、10式戦車や対戦車ヘリコプターが目標を吹き飛ばすシーンはポスターにもなっている。もっと小規模なものだが、海上自衛隊の艦船を見学できる…

アフリカナガバノモウセンゴケ

徐々に日差しが強くなってきて、まだ寒さは残るものの太陽が温かく感じられる。当家では、なるべく多くの緑を置きたくて、ベランダに面した室内などに雑多な鉢植えを並べている。そろそろ胡蝶蘭の花芽がでてくるころでもある。 週に一度くらい水遣りをし落ち…

半島のカタストロフィ(4/終)

宇宙・サイバー空間・航空・海上・海中の通常攻撃については、完全に被害を防ぐことはできないにしても、現行の防衛力でしのげるのではないかと述べた。しかし、非正規戦となると話は変わってくる。 彼の国には、100万人の陸上戦力と10万人の特殊部隊がいる…

半島のカタストロフィ(3)

「対話と圧力」と言いながら、実質的にはどちらも決め手に欠けていた対北朝鮮交渉なのだが、多くの日本人にとって「現状でも仕方がない」という感覚があったと思う。それがひょっとすると動くかも知れないとなった場合、その瞬間は突然にやってくる可能性が…

半島のカタストロフィ(2)

いわゆる6カ国協議では、常に「カギを握るのは中国だ」と言われてきた。中国が問題解決に本腰を入れなければ、事態に大きな進展は望めないことは確かである。その中国が、条件付きにせよ北朝鮮の国体を変化させてもいいと考えるようになったとしたら「半島…

半島のカタストロフィ(1)

ただでさえ不安定な朝鮮半島情勢だが、金正男暗殺事件以来その緊張感は1レベル上がったように思う。仮に北朝鮮側の犯行だとして、TOPが命じたか否かにかかわらずその行動様式は理解できる。同国は「国体の護持」を第一目標にしているから、現体制への脅威と…

「IS」がアジアに

隆盛を誇ったIS(イスラム国)も、イラク第二の都市モスールでは封じ込められ、シリアの最大拠点で首都とも位置づけるラッカの陥落も近いと報じられている。中東における攻勢はしばらくありえないだろう、という観測は正しい。しかしエリアを失おうともそ…

東部戦線、78年目の終結

シミュレーション・ゲーマーの中には東部戦線と聞くと「血が沸き、肉が踊る」人たちがいる。基本的に、作戦級の陸戦タイプが得意な人たちである。東部戦線は2つの陸軍大国が丸4年間、ウクライナやベラルーシ、バルト三国などで戦った一大キャンペーンであ…

新兵器の初期不良

以前紹介したこともある米海軍の新鋭駆逐艦「ズムウォルト」が、こともあろうにパナマ運河で航行不能になったという。サンディエゴを出航し、東海岸の第三艦隊に配属されるための航行中エンジンに不具合が起きた。駆逐艦とはいうものの満載排水量14,800トン…

白兵戦教練は必要か?

安倍政権になってから、政治が右傾化しているというメディアがある。自衛隊の海外派遣や集団的自衛権の容認、今国会の焦点である「テロ等準備罪」などを例に挙げている。僕はこれらの例をもって「右傾化」とは言えず、普通の国家としてあるべき方向だと思っ…

嘉手納以南の米軍基地

那覇から国道58号線に沿って北へ向かう。安謝(あじゃ)天久(あめく)くらいはともかく、勢理客(じっちゃく)なんか読めないよねと地名を珍しがっているうちに浦添市に入る。「てだこの街浦添」と書いた碑を過ぎると左手に広大なスペースが広がっている。…